BGA「花火(Hanabi)」の基本戦略

この記事は主に A WINNING HANABI STRATEGY の翻訳で、文中の図もすべて同記事の引用です。

BGA(Board Game Arena) でプレイできるボードゲーム『花火(Hanabi)』の入門的な戦略についてまとめました。元になったボードゲームの作者はアントワーヌ・ボゥザで「ドイツ年間ゲーム大賞2013」に選ばれています。

右捨て左出し

BGAにおいては常に新しいカードが左から右に並びます。 つまり左端が最新のドローカード、右端が捨てられやすいチョップカードです。 ヒントがなければ右端から捨てて、ヒントをもらったら左端から出す。 これが花火の基本戦略になります。

右端から捨て、左端から出す

2枚ヒント

基本のヒントは「次に出せる1枚」を指定しますが、それだけではパーフェクトに届かないのが『花火』というゲームです。 「次に出せる2枚」を一気に指定するヒントを目指しましょう。

下の3種類は「次に出せる1枚と他1枚の色と数字」を一気に伝えられる高度なヒントです。

Finesse(技巧)

下の場面でアリス(A)はFiness(技巧)と呼ばれる「2枚ヒント」を出せます。

Finesseの例

手番のアリスはボブ(B)の左端の黄2に気づきます。ここでボブの左端の1枚に色ヒントを出せば「1枚ヒント」です。ボブは迷わず出せるでしょう。

しかし上級者のアリスはチャーリー(C)が黄3を持っていることに気づいて、そちらに色ヒントを出すことにしました。これが「Finesse(技巧的な2枚ヒント)」です。

このヒントが成立するには、チャーリーの黄3にヒントが出されたことにボブが首を傾げる必要があります。今すぐに出せないカードになぜ色ヒントを出したのか? もしかして自分の手札の左端に黄2があるのではないか。

そう確信したボブは黄2を出し、チャーリーが黄3を出して、ゲームをスピーディに進められました。

Reverse Finesse(逆の技巧)

同じ状況で手番がボブ(B)だった場合、Reverse Finesseという2枚ヒントを出せます。

Reverse Finesseの例

ボブはアリス(A)が緑3、チャーリー(C)が緑4を持っていることに気づきます。単純にはアリスに「1枚ヒント」を出せばいいでしょう。でももっと効率的にプレイできると考えて、ボブはチャーリーの緑4に色ヒントを出しました。

チャーリーは考えます。今もらった緑ヒントに従って緑3として出そうか。でも周りを見渡すとアリスも緑3を持っています。ボブはそれを知っているのに自分に緑ヒントを出したことになりすこし不自然です。

この緑ヒントはアリスに「左端は緑3」だと教えるFinessであり、かつチャーリーに「指定したカードは緑4」だと教えるReverse Finesseなのだとチャーリーは深読みします。

ここまでをチャーリーとアリスが確信できればアリスは左端の緑3を出し、次巡にチャーリーが緑4を出すことができます。

いかにも高度なヒントでありボタンの掛け違いで間違いが起きそうですが、決まれば気持ちよさそうですね!

Bluff(はったり)

さらに同じ状況で手番がチャーリー(C)だった場合、Bluffという2枚ヒントを出せます。

Bluff の例

チャーリーはアリス(A)とボブ(B)の手札を眺めて、ボブの赤3に色ヒントを出しました。

アリスはFinesseにより自分の左端が赤2だと考てプレイします。しかし実際には緑3でした。

ボブはチャーリーのヒントとアリスのプレイを注意深く観察して、自分の赤3に色ヒントが出されたからこそアリスはFinesseと勘違いしてプレイしたのだと推測しました。これを赤3として覚えておこうとボブが思えれば2枚ヒントの成功です。

3枚ヒント

ヒントや行動を組み合わせることでさらなる効果を狙うこともできます。

Free Discard(ただ捨て)

下の状況で手番がアリス(A)だった場合を考えましょう。アリスはすでにヒントをもらって黄4であることを確信しています。このまま出せばOKですね。

Free Discardの例

しかし、とアリスは気づきました。ボブ(B)もまた左端に黄4を持っている。うまくやればこのことを伝えられると考え、アリスは自分の黄4を捨てることにしました。

それを見ていたボブはびっくりします。出せるとわかっている黄4を捨てるなんてアリスはなにを考えているんだ! そしてすぐ冷静になりました。他に誰も黄4を持っていないということは、ボブ自身がそれを持っているというメッセージではないか。

そう考えてボブが左端の黄4をプレイできれば Free Discard の成功です。アリスは出せるカードをただ捨てすることで、ボブからカードを引き出すことができました(追加で不要カードを1枚捨てられた分だけお得です)。

Finesse からの Free Discard

同じく下の状況でボブの手番だとします。

Finesse からの Free Discardの例

ボブはアリス(A)に青3に数字ヒントを出して、チャーリー(C)にFinesseを伝えます。チャーリーは左端の青2をプレイする……代わりに、それをただ捨てします。

アリスは少しびっくりしますが、ボブとチャーリーの手札を眺めて、チャーリーが Free Discard をしたことに気づき、左端の青2をプレイします。この高度な連携が成功すれば、ボブは一つのヒントで3枚のカードを伝えられます!

ただこの状況の場合、チャーリーは自分の手札がわからないのでボブが Bluff で自分の左端が白2であることを伝えようとしている可能性を捨てきれません。ちょっとした賭けです。

Color Finesse(色の技巧)

さらに同じく下の状況でボブ(B)の手番だとします。

Color Finesseの例

ボブはアリス(A)が青を3枚も持っていて、しかもそのまま順番に出せることに気づきます。そこでアリスに青の色ヒントを出しました。

チャーリー(C)はそれを見て、さらにアリスに4の数字ヒントを出します。

アリスは3枚の青カードがあり、右端が青4だとわかっています。右捨て左出しの法則から左端が青2だと推測でき、さらに青4のヒントをもらったことで間に青3があることを推察できます。

2ヒントで3枚のカードを明らかにできるのはなかなかのものです。

もっと知りたい人に

H-Group Conventions に大量の戦略(テクニック)がまとめられています。

BGAにはフィネス(Finesse)を知っている人用のテーブルも立てられていますので、興味のある人は参加してみてください。

BGAのコンベンション(2023/7/22)

BGAで花火のテーブルを立てるとき選べるコンベンション(約束)の一覧です。 公式の説明はなかったのでリンク先はバラバラです。